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無線LANがつながらない

LAN (Local Area Network)とは同一の敷地内または建物内に構築されたネットワークという意味で、以前は有線のルータが使われていましたが、スマホやタブレットの普及に伴い無線のWi-fi接続が主流になりました。インターネットはルータに接続され、ルータから各端末に届けられます。ルータは、インターネットの中継役を担い、外部からの不正なアクセスを遮断する役割も果たします。2019年に最新の「IEEE 802.11ax」という規格がリリースされました。Wi-Fiの世界的標準規格は「IEEE 802.11」なのですが、名称が長くユーザーフレンドリーではないため、最新の「IEEE 802.11ax」はシンプルに「Wi-Fi 6」と呼ばれるようになりました。現在では、インターネットは生活や仕事の上で欠かすことのできないツールとなりつつあり、動画の閲覧やゲームなど速さを求められる環境において、ネットワークの安定は必須の条件となっています。無線LANがつながらない原因の殆どは無線LANを使用する環境にあります。ここでは、無線LAN・Wi-Fi接続が不安定になり、つながらない、途切れるなどのトラブルが発生する原因や対処法について考えていきます。

以下の解説は、わかりやすさを優先しているため、一部に厳密さに欠ける部分があります。

S/N比について

S/N比とは、信号(Signal)と雑音(Noise)の比率のことです。S/N比、S/N、SNRなどともいいます。信号成分中に含まれる雑音の量を表し、この値が大きいほど信号の品質がよいという評価をします。単位はデシベル(db)です。この場合、雑音とは、伝送信号以外の好ましくない成分のことです。S/N比が高ければ、雑音の影響は少なく、S/N比が低ければ、雑音の影響を受けている率が高いということになります。無線LAN通信において重要なのは、電波強度ではなくS/N比です。無線LANの電波は、信号のやり取りのために使われています。電波が弱くてもそれに含まれるノイズが少なければ、正常に信号を受け取ることができます。逆に電波が強くてもノイズが大きければ、本来の信号がどんなものか判別ができなくなります。設定をユーザーが主体的に行わないと機械は電波強度で接続する優先順位を決めてしまいます。具体的には障害物の影響を受けやすい5GHz帯よりも比較的障害物に強い2.4GHz帯で接続してしまうのです。しかし、2.4GHz帯は使用者が多く、同じ建物内でも使用する電化製品が使用している周波数と干渉しあうため、ノイズの影響が無視できなくなってしまうのです。

インターネットの受信環境

無線LANに使われている2.4GHz帯、5GHz帯は周波数が高く障害物に弱いという特性があります。これは、電波の出力の強弱とは関係ありません。無線LAN最大のメリットは、電波の届く範囲内ならどこでも使えるという自由度の高さです。スマートフォンやタブレット、ノートPCのようなモバイル端末での使用には大変有用です。無線LANの接続が不安定な場合、原因の殆どは受け取る側の環境にあります。では、どのような点に着目し、改善すればよいのでしょうか。改善策には以下のようなものがあります。

無線LANアクセスポイントの場所
なるべく家の中心に置く
無線LANルータは、放射状に電波を送りますので、家の中心に設置したほうが効率よく電波を飛ばすことができます。但し、家の形状や家具の配置次第では、中心に置くことでかえって死角ができてしまうこともあります。電波は壁などの障害物にぶつかると、電波の一部が吸収されますが、反射しながら死角に回り込む性質があるので、電波を反射させたい箇所にアルミ板などを置くと、回り込みがよくなります。
電子レンジやドアホンから離す
無線LANが使用する2.4GHz帯の周波数は、電子レンジやBluetooth機器、ワイヤレスインターホンなど家電製品の電波と干渉しやすい性質があります。5GHz帯を利用するルータならさほど影響はないのですが、それ以外の機種は強い電波を発する機器のそばには置かないほうが賢明です。また、集合住宅などで、ルータが複数個ある場合も各々の電波が干渉しあって不安定になることがあります。
ルータの周囲に背が高い家具がないこと
効率よくWi-fiの電波を受信しようと思ったら、ルータの周囲に高い家具は置かない、また背の高い家具の近くにルータを置かないことです。背が高い家具がルータのまわりにあることは、電波が途切れたり不安定になる原因の一つです。何も障害物がなければ、無線LANのWi-fiは、数十メートルも飛びます。
なるべく高い位置に置く
電波を遠くまで飛ばしたい場合は、アンテナができるだけ高い場所にあるほうがいいです。Wi-fiの電波は障害物に弱いため、床の上にあるよりは、なるべく高い場所にアンテナがあるほうが、障害物も少なく遠くまで電波が届きます。スカイツリーや東京タワーなどの電波塔が高いのもそのような理由です。
ファームウェアやドライバの問題
無線LANルータには、「ファームウェア」という制御ソフトが組み込まれています。ファームウェアは書き換え可能で、不具合の修正などでバージョンアップが行われています。ルータに接続する端末には、ドライバがインストールされています。ファームウェアとドライバは、各々のタイミングでバージョンアップされます。無線LANの不調を感じたら、ルータや接続先の端末を最新の状態にするよう心掛けて下さい。
家の大きさや構造の問題
2階建て、3階建ての家屋や鉄筋コンクリート住宅であるなど、家屋の床材、断熱材の材質などによっては、電波が遮断されている可能性があります。無線LANルータの位置を変えても状況が変わらないときの対応策には以下のようなものがあります。
  • 1階に無線LANルータを置き、2階に中継器を置く
  • ルータをパワーの高いものに変える
  • 電波が届きにくいのが一部であれば、そこだけ有線で対応する。
平屋だが、離れがある場合なども無線LAN中継器の使用は有効です。注意していただきたいのは、2階建ての1階と2階のそれぞれにインターネット回線を引き、ルータを各階に置いた場合、今度は電波の干渉でインターネットにつながりにくいという不具合が発生するケースがあります。そんなときは、片方を5GHz帯に設定するなどして周波数の切り分けを行い、電波の干渉を防いで下さい。ただし、同じLANに接続している機器同士でないと、ファイルの共有が面倒だったり、できないことも出てきます。回線コストもかかりますので、状況に合わせて検討してみて下さい。
周波数帯の問題
無線LANは法律によって使用できる周波数帯が定められていて、現在の無線LANの規格では2.4GHzと5GHzの2つの周波数帯が用意されています。最近ではどちらの周波数帯も使える無線LANルータが増えています。ルータを使用する環境によっては電波の干渉で通信が不安定になるなどのトラブルが起こることがあります。それぞれの周波数帯には特徴があります。違いを見てみましょう。
メリット デメリット
2.4GHz帯 電波が遠くまで届き(障害物がなければ、約100mは飛ばせる。) 壁などの障害物も通りやすい。 家電などで使用している機器が多いため、電波が混雑し、お互いに干渉しあうことがある。
5GHz帯 高速な規格に対応。利用している機器が少ないので、電波の干渉を受けにくい。 2.4GHz帯に比べると、電波が遠くまで届かない。壁などの遮蔽物によって電波が遮断されやすい。
2.4GHzの特徴
2.4GHz帯は、無線LANルータの他にも家電やコードレス電話、Bluetoothなどでも使われていて、非常に混雑しやすい周波数帯です。電波同士がぶつかると、通信が不安定になり、速度低下を招きます。ワイヤレスのキーボードやマウスなどもBluetooth接続なら、干渉の対象になります。
5GHzの特徴
5GHz帯は、家電製品には使われていないので、干渉を受けにくく、高速で安定しています。使用できるチャンネルも19あるので、2.4GHzのような使用チャンネルによる干渉もありません。高速なデータ通信を求める場合は、5GHz帯の使用をお薦めします。
無線LAN機器の問題
無線LANルータを買い替えずに古いままずっと使っていると最新のPCやスマートフォンの通信特性を活かしきれないことがあります。急にインターネットに接続できなくなったときは、モデムとPCを直接LANケーブルで繋いでみてください。これでつながれば、モデムとPCには問題がないことがわかります。その後で、モデムとルータとPCを優先接続してみてください。これでインターネットにつながらなければ、ルータに問題があることがわかります。ルータの状態を確認するために以下の事を試してみて下さい。
無線LANルータを再起動
インターネットにつながらない原因が一時的なものであれば、一度電源を切り、少したってから再起動してみてください。これで通信が復活することが多いです。
ファームウェアを更新
ファームウェアがアップデートされていないと不具合が起きることがあります。ファームウェアが最新バージョンに更新されているかどうかを確認してみてください。
PCを一台だけ接続してみる
無線LANルータにつながっている端末が多すぎると不具合が起きることがあります。PCを一台だけ接続してみて、インターネットにつながるかどうか試してみて下さい。
無線LANルータ買い替えのタイミング

接続する端末が最新のものでも、無線LANルータが古い規格のものを使っている場合は、最高のパフォーマンスが得られません。通信速度があまりにも遅いようなら、買い替えを検討してみてはいかがでしょうか。最新の無線LANルータには、PCやスマートフォンがある場所を察知して、集中的にその方向に電波を送る「ビームフォーミング」という機能が搭載されているものもあります。買い替えを検討するタイミングは、以下のようなときです。

最新の通信規格に対応する端末に買い替えた
PCやタブレット、スマートフォンなどの端末を最新の製品に買い替えた時も無線LANルータの買い替え時です。端末が高速の通信規格に対応していても、ルータが古いままだとせっかくの高い通信性能を活かすことができないからです。
インターネット上の動画を見たり、アップロードすることが増えた
SNSに動画をアップロードしたり、YouTubeで動画を閲覧したり、オンラインでゲームをやる機会が増えたら、ルータを買い替えるタイミングです。写真や動画のアップロードやダウンロード、動画の閲覧などは、通信速度が遅いと、非常にストレスを感じます。
回線の契約を変更した
回線の契約をADSLから光回線に変更したときは、無線LANルータの買い替えどきです。いくら回線速度が速くても、無線LANルータが古くては、その速度を活かしきれません。
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