初心者のためのパソコン講座
HDDの異音について
PCのトラブルはある日突然やってきます。購入後、長期にわたって使用して部品が消耗したことに起因するものもありますし、購入後まもなくの初期不良によるものなどさまざまなケースがあります。電源が入って稼働している状態のHDDのヘッドは、プラッタからほんの少しだけ浮いている状態です。磁気ヘッドは、髪の毛の約1/40,000ほどの隙間を保って非常に高速でプラッタ上を移動していますので、PC稼働中の衝撃には注意が必要です。万が一PC稼働中に上から下方向に衝撃があった場合、反動でプラッタから離れ、アクチュエータのバネ反動でプラッタにたたきつけられます。この時にプラッタの表面の磁性体が剥離します。その剥離した部分は不良セクタとなり、やがてヘッド損傷の原因になります。 パソコンから聞いたことがないような摩擦音や「カチカチ」「カタカタ」という音がしたら、HDDに何か物理的な障害が発生しているとみて間違いありません。
HDD異音の原因
HDDの異音の原因は大きく分けて2つ。「部品」か「部品以外」の異常が考えられます。
データ読み書きの「部品」に原因がある場合
- 磁気ヘッドの故障による誤作動
- 外部からの衝撃や経年劣化により故障した磁気ヘッドがデータを読み込めず、往復の動作を続けている可能性があります。データが読み込めないので、磁気ヘッドのアーム部分がストッパーに当たって、「カチカチ」と音がでるケースがあります。
- 磁気ヘッドが故障してプラッタと接触
- 磁気ヘッドがプラッタに直接接触していることが原因で、「カチカチ」という音に加え摩擦音もします。この場合、プラッタに傷がつき、そのセクタのデータが破壊されます。
データ読み書きの「部品」以外に原因がある場合
- HDDのセクタ部分に異常が発生している。
- 経年劣化で不良セクタが増えてくると、磁気ヘッドがデータを読み込もうとしても実際には読めないので、アームが何度も往復運動をするため、「カチカチ」と音がします。
- ファームウェアが壊れ、磁気ヘッドをコントロールできない。
- HDDを動かすためのファームウェア(プログラム)に異常が発生して異音が出ることがあります。また、HDDの動きを司るチップなどに不具合があると、正しい動きが出来ず、アームがストッパーに接触して「カチカチ」音がします。
HDDから異音がしたらやってはいけないこと
HDDから異音がしたら、通電することはNG行動です。大事なデータが消えてしまうのではないかと焦って「バックアップをとらなければ」などと思ってしまいがちですが、それこそが内部のデータにとっては命取りとなります。データが保存されているプラッタ部分に傷がついて、取り出せる可能性があるファイルを物理的に破壊してしまうからです。以下の行動が「HDDから異音がしたらやってはいけないNG行動」です。
- 再起動を繰り返す
- HDDをたたくなどの衝撃を与える
- バックアップをとろうとする
- 機器の電源のon/offを繰り返す
- HDDを分解する。
HDDから異音がした時の注意点
修理には時間やお金がかかることからご自身で調べながらなんとかしようと思う方がいるかもしれませんが、その結果症状が悪化し、データ復旧が困難になり、高額な料金がかかってしまったり、最悪な場合はデータを取り出すことができなくなります。「PCから異音がする」「PCから異臭がする」など普段と違う症状を感知した時は、PCからのサインが出ている状態です。自己診断は大変なリスクを伴い、HDDに大変な負荷がかかります。通電がきっかけで症状が悪化しますので、電源を何度も入れないようご注意下さい。まず電源を切り、他の媒体との接続も解除することが重要です。HDDは精密機器の集合体で、とても繊細な部品ですので、一刻も早く専門業者に相談することをおすすめします。